オラファー・エリアソン展「影の光(原題:Your Light Shadow)」@原美術館

ずーっといきたいと思っていたのですが、会期終了も迫っていたので行ってきました。誰かを美術館めぐりの道にひきずりこむのにうってつけな催しだったので本当は誰かといっしょに行きたかったんですけどね。
11時開館で着いたのは11時過ぎだったんですけど、並んでてびびりました;
でもその後は並んでるとかはなかったので、みなさん開館前からいたってだけなんでしょうね。
土曜の午前、天気は晴れってことで人は多かったですけど、不快なほどではなかったと思います。
まずはもっぱらのウワサになっている虹発生装置「美/Beauty」です。上から幕のように霧が降ってきていて、そこにライトがあたって虹が見えるというやつです。
きれいはきれいだったんですけど、霧発生装置が安定しなかったのかそれとも長い会期のうちに劣化してしまったのか、真ん中らへんの霧が薄かったのでけっこう微妙でした。うーむ。
それから「影のランプ/Shadow Lamp」です。ランプの周りでぐにゃぐにゃした金属がゆっくり回ってて、その影が周り一帯にぶあっと広がってるっていう感じで。
これ今思い出したんだけど、前にどっかで見たことあるかも。。。思い出せないけど。どこだろう。イサムノグチ展に行ったときに休憩スペースに置いてあったような気がする。のでとりあえずそういうことにしておきますw
それから、「ぶらさがりシリーズ」(俺命名)です。
まずは「円を描く虹/Round rainbow」です。天井からリング状になったプリズムがぶらさがってて、それにライトを当てて、リングがまわっていくうち壁に虹色とか白色のラインができたりできなかったり。。。というものです。
これがね。もう宇宙でした。ユニヴァース!!(何
壁の上をゆっくりと変形しながら動いていくいくつもの光のラインと、近づいたり遠ざかったり、現れたり消えたり、つながったりきれたりをゆっくりと繰り返す虹。それからライトの光とプリズムの影。
ね。もう宇宙ですよ。「心が震える」っていう言葉をあらためて実感しました。
それから「色彩の空間を包み込むもの/Colour space embracer」です。こんどはぶらさがってるのはカラーフィルター処理が施されている(高いカメラのレンズみたいな感じ)3つの浅くて径の大きいパイプみたいな感じのリングで、ばらばらの周期で揺れているのです。
さっきのが宇宙なら、こっちは生命みたいな感じで、リングの透過光と反射光がこう、ひろがったりすぼまったりしながら、混じり合いながら動いてゆくというやつです。
たまたまリングの方向が重なるところに出くわすともうなんか神々しささえ感じてしまうわけです。
そして2階にあったのは「空間を包み込むもの/Your space embracer」です。こんどはシンプルに鏡のパイプリングが一個まわってるだけなんですけど、突堤の先でぽつんと回り続ける灯台みたいで、時間を目に見えるものにするとしたらこんなものなのかなあ、という印象がありました。
ところで順序を飛ばしたのですが、「色彩の空間を包み込むもの」の奥には「カメラオブスキュラ/Camera obscura」という作品がありました。
カメラオブスキュラというのは直訳すると「暗箱」になるそうで、一口に言えばフィルムのないピンホールカメラであり、カメラの最も原始的な形態といえるでしょう。
そもそもカメラオブスキュラの原理はルネサンス期にはすでに発見されていたようで、それ以降カメラが台頭してくるまで画家が絵を描く際の参考として頻繁に使われていました。
エリアソンの「カメラオブスキュラ」はレンズとスクリーンからなり、レンズを通してスクリーンに原美術館の庭野様子が投影されているというものです。
不思議なのは、スクリーンの像の方が全然不鮮明なのに、ふつうに景色をながめるよりも生気にあふれた鮮やかなものに見えてしまう、ということです。風に揺れる木の葉の一枚一枚とか、そういうものがなぜか瑞々しいものとしてあらためて認識されるのです。映像でも写真でもなく、それがカメラオブスキュラであるがゆえの特徴なのでしょうか。。。
あとは「四隅を差す光/Four corners light」とか。一台のライトから光が4つに分散され、それが部屋の四隅を鋭く照らしているやつです。すげー地味だったけど、とても不思議な空間でした。
そして「単色の部屋と風が吹くコーナー/Room for one colour and Wind corner」です。
オレンジ色のパネルライトみたいのが部屋の一面に設置されており、出入り口のところにちっちゃいファンが並んでて風を送ってくる、というやつです。
えー、正直ファンの意味は分からなかったんですけど(部屋の内外を別領域として区切る働きとか?)、おもしろかったです。ウワサの色彩消失現象ですよ。この部屋に入った人はみんな白黒に見えるのです。
この作品で面白かったのは、ほかの部屋では完全に観客であった来場者が、この部屋では自然とお互いを「鑑賞」しあうという状態になるということでした。

えー、あとは実ははじめて原美術館の中庭にある彫刻を見てみました。
いくつかあったんですけど、ソル・ルウィットのわりと初期の立方体シリーズの「不完全な立方体」とか、
イサム・ノグチの「PYLON」があったのにはびっくりしました。
あと作家名作品名の掲示が見つからなかったんですけど、子供の頭の中をひっくり返したようなグロ美しい彫刻とインスタレーションのあいだのようなものがあって、それがすごくおもしろかったです。

以上。