「身ごもった鳥[Pregnant Bird]」

次の部屋との境目にあった「身ごもった鳥」という作品に俺はおもわず顔が緩んでしまいました。
彫刻をロダンの手から解き放ったと言われているらしい近代(現代?)彫刻家コンスタンティンブランクーシイサム・ノグチは師事していたそうなのですが、そのブランクーシの作品に、氏の代表作であり現代彫刻の金字塔であるらしい「空間の中の鳥(ここ参照)」というのがあります(正確にはこれに類する作品がたくさんある)。
これは実は抽象彫刻でも鳥の羽根だけをクローズアップした換喩による象徴でもなく(俺ははじめ後者だと思った)、鳥の形状や様態の本質を極めていった結果、頭部から腹部を通じて足に至るような、空間に介入していく流線型のフォルムだけがかろうじて残った、という歴史というか理由のようなものがあるわけです。
ところがこの「身ごもった鳥」は、材質こそ大理石であるものの、そのブランクーシの鳥のイメージをそのまま引用しているわけです。のみならず、表題通りおなかがぽっこりとふくらんで身重になっている(画像の物体が大理石製になって妊娠したと思いねぇ)わけですw
ブランクーシの厳格なまでの余計なものをそぎおとす態度に逆らって、そのうえ妊娠なんてしない鳥さんのおなかに子供を宿してしまう態度がなんかもうおかしくて。。。