「ミラー[Mirror]」、「グレゴリー(偶像)[Gregory(Effigy)]」、「化身[Avatar]」

次の部屋にあった彫刻は、薄いパーツを縦に横に組み合わせてできたなんか紙パズルみたいなやつだったんですけどほとんど良かったです。
まず「ミラー」。縦の面のようなワクのような、おそらく鏡面であろうところのなかを図形が自由に行き来してるっていう。つーか鏡じゃねえしwまあ、鏡って言ってくせに。。。っていう部分も大きいと思いますけど。
次に「グレゴリー(偶像)」。グレゴリーというのはカフカの「変身」の主人公の名前からとったそうです。形も、長方形の角を落としたみたいな感じのボディーに縦のスリットみたいな穴がいくつか空いていて、そこに毒虫の足を思わせるような形状が刺さるみたいな感じでぶらんと下がってるわけです。で、上の方に部品の下がってない丸い穴が空いていて、それがたぶん目なわけです。
始めのうちはその目がすごく悲しげに見えて、身体に穴開けられてそこに毒虫たる足をとりつけられて、みんなに見回されて。。。みたいな悲観的な空想に浸っていたわけなんですね。
でも、他の所もちらっと見て戻ってくると、その目がすごく超越的というか、まあお前ら色々やりたいならやれよ的なしーんとした目に見えたわけで、そうすると逆にちょっとコミカルにも見えてまあおもしろいなあというわけでしたw
三つめは「化身」です。これ、はじめは何かわかんなくて一回次の部屋に行ったんだけど悔しくて帰ってきたらなんとなく見えたかなっていう経緯があったんです。
ていうのも、誰かビジュツの分かってる人が有用なこと呟かないかなーと思ってたら美術館は来なれてるぜ的なカップルが来たので耳をそばだててみると、女の子のほうが「私にはこれ人体を分解して再構成したやつに見えるんだけど…なんていうか、『肉』?」みたいな感じで彼氏に囁いてたのを聞いてああなるほどと思った訳なんです。
その後も女の子はいろいろなディティールを喋ってましたけど、俺は俺でいろいろ思う所がありました。ていうかそんな彼女ほしー(彼女じゃなくても、ビジュツがなんでもわかってて一緒に美術館にいってくれる、個々の作品に長い時間をかける女の子でいいんだけど。。。って注文がより厳しくなってるな;)
どんな彫刻かって言うと、曲線的で有機的な形状が3つの足みたいなつっかえ棒みたいな長い形状によって高く掲げられているわけなんです。たぶん上におさまってる形状は人間とか生命とか思念とかそういうものの「化身」なのでしょう。それは足に掲げられながらも、その一部分はどろり、ってな感じで足で支えきれない感じでたれていってるわけです。その足はたぶん正論とか必然とかそういう断然たるものの象徴なのかもしれません。その足が掲げる化身は、その高さに甘んじながらも自発的にはそれを維持せず、上辺では好きなカタチをとり、いっぽう下辺はだらしない肉となって足のあいだをこぼれようとしている、というふうに俺には見えた訳です。そして断固たるものたるべき足もやはりへんな出っ張りがあったりとか化身を支えられなかったりとかそういう間の悪い部分があるよ、みたいな。
まあ足を断固たるものの象徴とするのは読みすぎかなあと自分でも思いながら書いてるんですけど。